【書評】「おひとりさまの老後」を読んで

MSW関連の本の紹介

【本の紹介】話題の上野千鶴子さんの本です。

 こんにちは、現役MSWのヒナタザウルスです。このブログでは、MSWとして関わった事例や思う事、MSWに関わる本や、あんまり関わらない本も含めて紹介させていただいています。

 今回は「おひとりさまの老後」という本を読んで、思ったことをブログにさせていただきます。

 著者:上野千鶴子さん、出版:文集文庫さん

共感される方が多そうです。

 10年前に話題になった本ですが、今の中高年の女性には、かなり共感できる内容なのではないでしょうか。

 あとがきの中で、辻元清美さんが、「なんでも家族単位で発想する日本社会を個人単位に変える『起爆剤』」と言っているように、日本の女性の老後に対する考え方を、大きく変えた本です。

 高齢福祉に関する仕事をしている方は、「考え方」を理解するためにも十分に読む価値があるものだと思います。

 まず興味深いのは、年をとって子ども世帯との中途同居した人は、最初から同居していた人や、ひとり暮しの人よりも、幸福度が低いという指摘をしている所です。

 私が、MSW(Medical Social Worker:医療ソーシャルワーカー)としてお話を伺う中でも、そのとおりだと思うことも多々ありました。
 実際には、最初から同居の場合でも、介護などのきっかけで関係がうまくいっていない事例もたくさん出会いました。
 自分の親、又は夫の親と同居している人は、日々親子共に、常に強いストレスを感じている人が大多数なのかもしれません。

 また子どもの、年老いた親を介護しないのは親不孝、という自責の念からする介護を、「義理介護」「意地介護」と著者は呼んで、結局介護の負担に耐えかねた子どもから、どこかの施設(ここでは高齢者施設全般を指しているようです)に入居を迫られることになる、という点も、まさに的を得た指摘だと思います。(MSWとしては、施設入所が「迫られる」ものであると言いたくはないものですが。)
 中途同居の場合、今までたまにあっていたから我慢出来たことも、毎日となると予想以上に耐えられなくなり、文字通り深刻な葛藤につながっているケースが多いので、こどもの「いっしょに暮らそう」は、悪魔のささやきだ、と断言しているのは、思わず苦笑しました。

自然は孤独の最大の友だ!

 ひとりで生活する場合の、さまざまな場所の提案もされていて分かりやすかったですし、安全な暮らしをするための提案も、山中で独り暮らしされている方のエピソードなど面白かったです。

 ちょっと個人的に違和感があったのは「だれとどうつきあうか」の中で、女同士の食事に「男がくると話題が変わる。なぜなら、男は自慢話をするか、グチを言うか、だから。」とありますが、最近の男性の中には、どちらもせずに女の中に自然に混じれる人も多いのではないかなと思いました。
 それにしても、この章では、友人の大切さ、自然は孤独の最大の友だ、ということに関しては、そうなのかもしれないなと、思いました。

介護を受けることになったら。

 後半は、老後のお金の問題や、介護のこと、葬式について書いています。

 文庫版のあとがきの中で、一定の世代より若い方々からは、「この老後のシナリオは、団塊世代にはあてはまっても、私たちには関係ない」という反発があったそうです。

 「団塊世代以上の高齢者のために書いた」と書いていてありますが、高齢者に関する制度は改正の頻度が著しいので、こういった本に関しても、世代ごとの捉え方が違ってくるのだろうと思います。


 介護について書いてある箇所では、介護される側の心得10カ条が書いてあり、どれも納得できるものです。特になるほどと思ったのは、相手が受け入れやすい言い方をえらぶ、ということです。正しいことを言われても、言い方が気にさわるせいで聞く耳をもてない場合もあります。

 「言い方に気をつけよ」は、家族の中でも真実、とありますが、介護する側とされる側の軋轢が生まれないためには必要な心がけだと思います。

おわりに

 あとがきの中ではまた、「(この本が)10年後には陳腐化している」と書いていますが、ほとんどの点で10年後の現在にあてはまり、まだまだ意識は簡単には変わらない事を実感します。高齢者を取り巻く社会は変動が激しいので、意識の方がついていけないところも、あるのかもしれませんね。

 MSWとして、この世代の女性の「意識」を強く感じることは多いです。この本を読んで、改めて、「世代間の考え方の違い」を学んだように思います。

 また、「上野さんらしい」といったら失礼かもしれませんが、結構辛辣な描写もあり、病院で経済的にも社会的にも追い詰められている方々の支援をする立場としては、「そうなのだけれど、、」と思うところもあったかなと思います。

 この後、上野さんの本を2冊、ブログで紹介しているので、そちらのリンクも貼らせていただきます。

 → 【書評】「おひとりさまの最期」を読んで。

 → 【書評】「在宅ひとり死のススメ」を読んで

以上、MSW(医療ソーシャルワーカー、社会福祉士)ヒナタザウルスのブログでした。
最期まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました