【MSWの事例紹介】退院でもとの施設へ戻りたくない。

事例イラスト 事例編

【事例18】高齢者の施設選びもさまざまです。

 こんにちは、現役MSWのヒナタザウルスです。

 今回の事例は、MSW(Medical Social Worker:医療ソーシャルワーカー)として、施設を選ぶ時のポイントを教えてくださった大切な事例です。なお、事例に関しては特定を避けるために多くの情報を変えておりますので、一部フィクションであるとご理解いただきながら、実際に自分が相談員だったらと思いながらお読みいただければと思います。

入院と同時に「元居た施設に戻りたくない」とおっしゃられて

 今回の患者様(Aさん、男性)は、内科に入院された患者様です。体調がそこまでものすごく悪いわけではなく、入院での治療そのものはスムーズに行えていました。もともと有料老人ホームから入院された患者様であり、退院調整もその施設に戻るだけかと予想していました。

 私は、入院した患者さんの様子を見に、可能な範囲でお部屋に伺うようにしているので、お部屋に伺うと「あんた相談員か。ちょっと聞いてくれ。」と話しかけられました。お話の趣旨としては、いま入居している施設のご飯が美味しくないから、そこには退院後に戻りたくないとのことでした。

 Aさんの入っていた施設は、大きくて新しく、食事に力を入れている施設だったので、私は「その施設よりおいしいところは、なかなかないよ。」という話をして、それでも元居た施設へお戻りになるイメージでいました。

病院で時間稼ぎはできない可能性がある。

 前提として1つお話ししたいこととしては、病院に入院したことで、「違う施設に移ろう。」とか「施設探しをしよう」と考える方がおられます。病院の機能にもよりますが、急性期の病院では、「治療が必要だから入院」しているはずですので、なにかのために時間稼ぎを行える場所ではない事が多いです。

 医学的な見地(医師の判断)で、入院や退院の判断があるのです。違う施設を探す時間を稼げる場所ではありません。その意味でいうと、例えば「食事が好みに合わない」という理由での施設探しを行う時間は、病院で作ることは難しい(ことが多い)です。

 施設を、体調以外の問題で移りたい場合には、元居た施設へ退院してから、改めて施設の変更をするべきとなるのです。

 ここの部分に相談員としての葛藤はありますが、病院の機能を考え、難しいものもあります。

よく話を伺っていくと。

 このケースに関しては、詳しくお話を伺っていくうちに、食事が合わないという理由より、元居た施設があまり好きではないようでした。そのことを踏まえて、娘さんに相談することとしました。

 娘さんとしても、本人の意思は予想外だったようで、「新しくて大きくて、結構な値段するのにな~
~」とお話されておりました。また、娘さんとしても、一旦元居た施設へのお戻りを考えざる得ないこともご了承いただけました。そのうえで、元居た施設以外で、薦められる施設をいくつかお話しました。

 その後に、本人とも話し、一度は元居た施設に。そのあと他の施設へ行くかはまた検討しようということとなりました。

退院後に。

 退院してしばらくして、Aさんは他の施設へ移ったそうです。担当したケアマネージャーさんが知り合いで、かつ、移った先の施設も私が紹介させていただいたところだったので、教えてくださいました。

 その施設は、元居た施設より、古く、狭く、小さい施設ではありましたが、手作りの食事が提供され、平屋で古民家のような雰囲気の場所です。Aさんは前までより元気なのではないかと思われる様子で過ごされていたそうです。

後日談として。※「おわりに」に替えて

 後日娘さんから伺った話では、Aさんは前まで以上に元気になり、ご飯も食べて、明るく過ごしているようです。

 娘さんからは「相談員さんに相談してよかったわ。私、施設は新しいとか、大きいとか、綺麗ってことばかり気にしていたけれど、おじいちゃんの好みは違ったのね。もともと過ごしていた家の雰囲気と、今の施設は似ているのよ。それに、スタッフさんの雰囲気がいいのも、良いわね。家みたいだから、スタッフさんもなんとなくアットホームでさ。おじいちゃんがリラックスして過ごしていて、本当によかったわ。」とわざわざご連絡をいただきました。

 MSWとして、かなり学びの多いコメントでした。施設を紹介するときに、本人さんの趣味や趣向を考慮する必要性を、再認識した事例でした。

以上、MSW(医療ソーシャルワーカー、社会福祉士)ヒナタザウルスのブログでした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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