身寄りなしってなんだろう。【MSWの事例紹介】

事例イラスト 事例編

【事例13】私が初めてお見送りをした患者様です。

 こんにちは、現役MSWのヒナタザウルスです。このブログでは、MSWとして関わった事例や思う事、MSWに関わる本や、あんまり関わらない本も含めて紹介させていただいています。

 今回の事例は、MSW(Medical Social Worker:医療ソーシャルワーカー)としてかなり頻繁に関わる「生活保護」の方で、本人の意思がかなりしっかりあった方です。なお、事例に関しては特定を避けるために多くの情報を変えておりますので、一部フィクションであるとご理解いただきながら、実際に自分が相談員だったらと思いながらお読みいただければと思います。

今回の患者様は癌が進行している患者様です。

 今回の患者様(Aさん、80代男性)は、癌が進行している患者様で、通院と入院を繰り返していました。介入時の情報は、生活保護、身寄りなし。相談員としても、高齢者施設への入所などを検討していただいたほうがと提案はしたのですが、なかなかご本人としては望まず。意思のはっきりした方でした。結婚はしておらず、子はなく、兄弟姉妹が何人かいる(現在の状況は知らない)とのこと。

 歩行もしっかりでき(徐々に弱っていきましたが)食事も食べることができていたため、高齢者施設に入らず、介護サービスも使わず、自宅からの外来と入院で過ごされていました。

徐々に体調が悪くなり。

 癌が進行し、徐々にAさんの体調が悪くなってきました。急変のリスクが高くなってきたので、私は役所の生活保護の担当の方に連絡しました。内容としては「急変のリスクが高くなってきました。有事の際には連絡します。お迎えの業者(葬儀会社)は、福祉葬をお願いできる○○さんでよいでしょうか。また、Aさんはやはり、連絡のつく親族の方はいらっしゃらないのでしょうか。」というものです。生活保護の担当者の方の回答は「連絡ありがとうございます。○○さんであれば問題はないと思います。親族に関しては、過去に本人妹(高齢)に連絡を取ったことがありますが、関わりたくないとの回答を受けてしまいました。」とのことでした。

 生活保護の担当者とMSWは連携必須なケースも多いです。上記のようなやり取りが多くあります。

 妹さんはいるけれど、当院が連絡できるという意味では身寄りなしということに変わりはなさそうです。実際に、病院に来る方で「身寄りなし」となっている方の多くは、「連絡できる身寄りがいない」という意味です。天涯孤独という方はほとんどおられず、子どもはいるが絶縁状態である方、妻子はいたが離婚等をされた方、兄弟はいるが地方で遠縁で高齢であり関りを希望されない方、など、実際には親族自体はいるという方もいらっしゃる方もおられます。

Aさん自身はどう思っているのだろうか。

 Aさんに、このままだと体調が悪くなることをだれにも知らせることができないので、良いのかを確認するために本人とお話ししました。(この事例は、入退院を繰り返すAさんとある程度関係性ができていた前提があります。)

 本人からは、「亡くなったって、連絡する人もいないし、兄弟姉妹には連絡してほしくない」とのお言葉を受けました。

 Aさん自身は「静かに誰にも言わずに死にたいんだよ」とよく話されていたため、一貫した希望なのだなと思いました。

結局、他界され。

 Aさんは、この数日後に静かに他界されました。私自身の無力さを痛感しながら、霊安室のお見送りも同席させていただき、Aさんは退院していきました。

おわりに

 私が入社して以来、初めてしっかりお見送りをした方でした。亡くなったときに、医師と相談員の二人でお見送りをしながら、身寄りなしで亡くなるということの意味を再度考えてしまいました。

 また、Aさんは連絡をしないことを強く希望していましたが、ほかのご兄弟含め連絡をしてきてほしい方は本当にいなかったのでしょうか。

 いろいろと考えることができた事例でした。

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