KPの婚約者は他に妻がいました。【MSWの事例紹介】

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【事例10】婚約者を名乗ることは、簡単なのかもれません。

 こんにちは、現役MSWのヒナタザウルスです。

 今回の事例は、MSW(Medical Social Worker:医療ソーシャルワーカー)として関わった中でもっともドラマのようだなと思った事例です。なお、事例に関しては特定を避けるために多くの情報を変えておりますので、一部フィクションであるとご理解いただきながら、実際に自分が相談員だったらと思いながらお読みいただければと思います。

今回の事例は、初めはなんの問題もない患者様で。

 今回の事例は、これまでの多くの事例のように、救急車等でありませんでした。他の病院から、転院でいらした患者様。Aさんは、40~50代程度の女性であり、入院時の連絡先(いわゆるキーパーソン、以下KP)は、婚約者のBさん。Bさんはさわやかな男性で、入院後もかなりの頻回に面会に来ており、Aさんは病室にBさんとの2ショットを飾るほど、仲良くされていました。婚約者や内縁関係の方がKPとなられているケースは珍しくなく、仲の良い婚約者なのだと思っていました。ただ、Aさんには他に身寄りの方がいないため、仲が悪くならないでほしいなと、思っていました。

だんだんAさんの体調が悪くなってきて。

 Aさんの体調が少し悪くなり、Bさんに連絡をたびたび取っていたりしているうちに、Bさんがなかなかいらっしゃらなくなりました。Aさんはこの時点ですでに、ほとんど意思疎通は取れず、ほとんど寝たきりで過ごされていました。

 数日後、Bさんが、まったく見たことのない女性を連れて、私宛に来院されました。

 私はお話をする前から、違和感をかなり強く感じていたのですが、残念な予想は当たり、なんと、連れてきた女性は、Bさんの妻(以下、Cさん)だというのです。そして、Cさんは私に静かに次のように話されました。「ウチの夫がすみません。Aさんと知らない間に仲良くなり、どんどん関係が深くなっていき、そんな中でAさんが入院することになり、身寄りのないAさんから入院時に婚約者として入院書類に名前を書いてほしいと言ってきたため、断れず、夫が婚約者を名乗っていました。実際には私と結婚して10年以上たち、Aさんとの婚約などありえません。なので、もう、夫宛に電話も郵送もしないでください。」とのことでした。MSWとして、なかなかインパクトがある面談です。この話の間、Bさんは静かに、申し訳なさそうに静かにしていました。

衝撃的な面談内容でもMSWとしてできることはなんだろう。

 私としては、これまでAさんの面会に来るBさんの姿等を見て、「頼まれたから婚約者としてKPになった」だけの関係性には思えませんでした。しかし、Aさんはもう話せる状況ではなく、Bさんは黙ってしまっているため、私が「AさんとBさんは本当に仲の良い婚約者でした!」と主張することはとてもできない(すべきではない)と思いました。

 衝撃の面談をしながら、私はMSWとして、なにが大切かを考えました。まず、Aさんには身寄りがないときいていたため、なにか有事の際は、友人としてのお立場でも連絡先に登録してよいかを伺いました。それは、「もうウチの家庭にAさんの名前を一切出したくない。」とのCさんの主張があり、断られてしまいました。実際、ここまでの話を聞き、AさんのKPとしてBさんCさん夫婦に電話をすることは現実的ではないなと思いました。こうなると、身寄りなしの方と考える必要があります。

 もともと入院時に身寄りがあった方が、身寄りなしになった事例も過去にもありました。またご本人はお金もあり、有事の時も、退院調整をするとしても、私でどうにかするしかないと考えました。

 また、私はAさんが、Bさんに奥さんがいたことすら知らなかったのではないかという事が不安になり、Aさんはすでに意思疎通もほとんどとれないので、特段この面談についてAさんには話さないことも、2人にご了承いただきました。

Aさんは改めて身寄りなしの患者様となり。

 Aさんは改めて、身寄りなしの患者様となりました。私は、市役所や、もともとかかりつけの病院などに問い合わせ、他に親族がおられないか探しましたが、見つかりませんでした。そのうえで、急性期の病院としていよいよできることがなくなったため、退院調整を行うこととなりました。身寄りなしの方でも相談できる療養型病院にお願いし、転院をしていくこととなりました。

 なお、転院先の病院では、Aさんは完全に身寄りなしです。このブログに書かせていただいたとても衝撃的な状況に関しても、転院先の病院は知らないままです。(一部聞かれたことは答えましたが)

身寄りなしの方については、他にもいくつも事例があります。

 → 第26回 身寄りのない生活保護の方が入院してきたら。

また、家族関係についても、さまざまな事例がありました。

 → 第4回 入院したら、親戚が増えました。

おわりに

 今回の事例は、かなりのインパクトをもって覚えています。

 また、急性期のMSWとして、「この角度で、身寄りなしになるかー。」と、しみじみ思ったことを覚えています。

 みなさんがMSWであれば、どうされたでしょうか。

以上、MSW(医療ソーシャルワーカー)ヒナタザウルスのブログでした。

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