【書評】「世界が注目する日本の介護 あおいけあで見つけたじいちゃん・ばあちゃんとの向き合い方」を読んで

MSW関連の本の紹介

【本の紹介】漫画で読みやすく、認知症ケアの正解を教えていただける1冊です。 

 こんにちは、現役MSWのヒナタザウルスです。

 今回も、本の紹介を書かせていただきます。今回読んだ本は「世界が注目する日本の介護 あおいけあで見つけたじいちゃん・ばあちゃんとの向き合い方」です。この本は漫画で読みやすく、非常にわかりやすく認知症に関するアプローチを、書いてくださっています。

 私はMSW(Medical Social Worker:医療ソーシャルワーカー)として働いているため、うなずくところも、医療機関に勤めるものとして葛藤を感じるところもある1冊でした。

 著者:加藤忠相さん、漫画:ひらまつおさむさん、出版:講談社さん

率直な感想として

 読みやすさがゆえに、数日で読め、率直な感想としては、「こんな素敵な施設があるなら、雇ってもらえないかな」という気持ちでした。私自身、かなり乗せられやすい性格なのもあり、読んだ直後は転職も考えるほど、素晴らしい施設が描かれている本です。

 そして、もともと「おじいちゃん子」だった私が、進路として福祉の道を選んだ10代のころの気持ちを思い出しました。この本の中の施設「あおいけあ」では、「施設の介護」ではなく、「じいちゃん・ばあちゃんとの共生」が行われているのです。

 作中でも、「ごちゃまぜがあたりまえ」と書いてありましたが、本来の高齢者との向き合い方は、ごちゃまぜがあたりまえなんだと思います。

 自分のおじいちゃん等には当然のようにできていた配慮が、また、できることはやってもらうという発想が、仕事で関わる高齢者にはできていないという事実を改めて考えさせていただきました。

 病院のMSWという立場で働く中で、このような「最高の認知症ケア」が行われている施設があるという事が学べただけでも、素敵な本だったと思います。

つまらない事を言います。

 つまらない事を言いますが、この本に出てくるように、「マニュアルのない介護」で「困っている人がいないようにする」ことは、簡単ではないと思います。

 著者の方がいうように、高齢者の方のことを考えれば、作中の施設が行っているようなケア、支援が当たり前なのかもしれません。今の一般的な施設での介護のように、マニュアルがあり、タイムスケジュールが固く、どの入居者にも同様な支援というのは、不自然な形なんだと思います。

 ただ、多くの福祉制度の形、福祉を取り巻く、人的・物的資源の状況などからも、いまのような施設の状況になっているのだと思います。

 私が過去に「退院調整」として、入院患者さんを紹介してきた施設のほとんどは、この本に出てくる「あおいけあ」に比べると、特に認知症ケアを行うとして考えたときに、劣るところがあるかと思います。むしろ、10か所ほどのグループホームを頭に思い浮かべましたが、(作中に出てくる施設の1つがグループホームなため)なかなかこのレベルの関りが出来ているとは考えにくいところがありました。

 ただ、少なくとも現時点での日本では、他の施設が「劣悪」なのではなく、この「あおいけあ」が「凄すぎる」のだと思います。そして、このレベルの実践が日本の福祉現場のスタンダードになるにはまだまだ道のりが長いように思います。頭で理解しても、実務では根本的な体制を変える必要があるのかもしれません。

医療機関に勤める者としての葛藤。

 漫画のなかで、「入院中に寝かされていたので、認知症が進んだ・動けなくなった」という表現がありました。私自身が仕事をする中で、「入院が長引くと、認知症が進むのではないか。筋力が衰えるのではないか。」という心配を家族の方からされることも、多々あります。その心配に関して、もっともだと思います。だからこそ、医療機関でも、入院のなるべく初期からリハビリに入ったり、早く元の生活に戻れるような支援をしているつもりです。入院していなければいけない原因があるから、入院をしているはずなので、その回復を願います。

 また、作中でも入院する希望のない高齢者がいて、医師が「この数値では医師として帰すわけにはいけない」という発言がある場面がありました。この本の中では、「あおいけあ」のみなさんが支援するから、入院は回避できたという内容となっていくのですが、病院のMSWとしては、葛藤を抱く場面です。

 病院で福祉に携わる立場の人間としていつも葛藤することは、病院などの医療機関は「健康を守る」場所であるということです。本人がいくら希望しても、健康にリスクがあることを、MSWを含む、病院の職員が許可などをすることは難しいと思われます。

 もちろん、個人差が多くあることなので、私の認識にはなりますが、日本の福祉と医療の僅かにある歪みにも、MSWの存在価値はあるように思いました。

おわりに

 読むこと自体はあっという間でしたが、学びの多い本でした。

「マニュアルのない介護」から学ぶことは、施設の職員のみならず、いろいろな業界にも共通して言えることであるように思います。かなり、高度なことを、とても自然にされている施設さんなのでしょう。

 転職はともかく、遠い未来に入所するのであれば、このような施設が良いです。

以上、MSW(医療ソーシャルワーカー、社会福祉士)ヒナタザウルスのブログでした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

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