他人の家に転がり込んで10年。【MSWの事例紹介】

事例イラスト 事例編

【事例2】居候とは同居なのだろうか。

 こんにちは、現役MSWのヒナタザウルスです。

 今回のケースは、「内縁関係ってなんだろう」と痛感したケースです。なお、事例に関しては特定を避けるために多くの情報を変えておりますので、一部フィクションであるとご理解いただきながら、実際に自分が相談員だったらと思いながらお読みいただければと思います。

 なお、ブログの中で「内縁」という言葉が複数回に渡り出てきますが、法的な意味で認められる「内縁」と、病院が入院患者さんの有事に連絡すべき対象と考える「内縁」には差異があります。法律に詳しい方がご覧になられた場合は、ご容赦願います。

救急車で運ばれてきた女性は、、、

 ある日、救急車で50代後半の女性が運ばれていらっしゃいました。(以後、Aさんとさせていただきます。)家でよほど寝たきりだったのか、顔にまで褥瘡(床ずれ)を作り、栄養面含めかなり体調が悪い状態でした。救急車を呼んだのは、苗字は違うが住所が同じの男性。いわゆる「内縁の夫」かなと思っておりました。(以後、この男性はBさんとさせていただきます。)

 Bさんは、なんとなく他人事のような感じもありましたが、キーパーソン(第一連絡先)として連絡にも対応してくださり、請求先にもなってくださり、そこまでMSW(Medical Social Worker:医療ソーシャルワーカー、以下、MSW)が関わることはないかなと考えました。

 ただ、Aさんがこんなにも衰弱するまで家で放置されていたこと、同居(10年以上)の方が瀕死の状況なのに他人事なことにかなり違和感がありました。

入院期間が長くなってきて、入院費の請求があるころ、、、

 1か月を超えて入院が伸び、BさんからMSW宛に連絡をいただきました。内容としては、「入院費の支払いが厳しい」というものであり、相談としてもよくあるものかなと思っていたのですが、よく聞くとかなりおかしなものでした。

 まず、Aさんは保険証の期限が切れていて、Bさんがその事実を知らなかったこと、また、Aさんがいつまで働いていたかなども、Bさんから伺うことができませんでした。また、Aさんの親族関係などについてもあまりにも知らないという状況でした。

 Bさんがおっしゃるには、お2人は、病院でよくお会いする「内縁の夫婦」と言われる関係ではなく、ただの友人とのことです。そのため、BさんはAさんの入院費をすべて払うのは違うのではないかとのことなのです。

 ただ、この時点でのBさんの住民票はAさんのご自宅にありました。そのため、市役所などの公的機関から見ると同一世帯と推測されます。そうなると、生活保護などの相談ができなくなってしまいます。相談員として、Bさんの言葉を信じ、「友人」と考え、Aさんは身寄りなしとして支援するのか、「内縁の夫婦」と考え、Bさんには分割でも入院費を払っていただくのか(かなり難しそうでしたが)。

 私がどちらと考え、支援していくべきなのかで、このケースは変わってきたと今では思っています。

2人の関係は何なのか、、、

 結論として、私は、Bさんの言葉を信じ、2人の関係性を友人と考えることにしました。

 私の持論として、「相談員は迷ったら情報収集」というものがあり、支援のなかでもアセスメントが圧倒的に大切だと思っています。

 このケースに関しても、Bさんから話を詳しく伺うと、10数年前、飲み屋で仲良くなったAさんが、ある日、家族に家を追い出されたとのことで(経緯は不明ですが、のちに事実とわかります)Bさんの家に転がり込んできたとのこと。Bさんは長距離のトラックを運転しており、週に1日家にいるかどうかの生活(これも、電話などでたくさんやり取りをする中で確証を得ます)。

 Aさんは、勝手にBさんの家に住所を移し、数年前まで働いていたとのこと。時間や生活リズムの違いもあり、あまり会うこともなかったようです。Bさんのご自宅は一軒家で、別の部屋にいたので、Aさんが何をしているのか、全然わからなかったそうです。

 数年前から、どうやら働いてないなと思っていたようですが、長距離の仕事に行く前にBさんが食べ物だけ買っておき、Aさんがそれを食べるという生活をしていました。そのうち、Aさんの栄養状態も悪くなり、床ずれができ、、、Bさんが数日前に久しぶりに部屋を開けたときには、ほとんど寝たきりで、焦ったBさんが、寝たきりのAさんにゼリーなどを介助で与えていたようですが、次の長距離の仕事を終え、帰ってきたときには、救急車を呼ぶ状況になっていたそうです。

どう支援していくのか、、、

 ここからMSWとしてどのように支援するかですが、私はまず、市役所に行き、Aさんの保険証を作り直す手続きをし(国保なので、未払いの一部をBさんに建て替えていただき)、その足で、生活保護に申請を行いました。

 役所の方がご理解のある方であったこともあり、Aさんは身寄りなし、住所地が病院という状況で生活保護となりました。後日記載しますが、生活保護は、退院支援では大きな意味を持ちます。 

 また、Bさんは生活保護の申請をするまでの入院費が請求されるだけとなり、当初の相談には結果的にある程度応えることができました。

後日談として、、、

 相談員として周辺の支援をしていましたが、Aさんはどんどん体調が悪くなりそのまま亡くなってしまいました。(あくまで相談員のブログなので、体調面は大幅に割愛します)

 そして、いわゆる「福祉葬」として、役所と相談し、葬儀会社に身寄りなしとしてご対応いただきました。

 その後にたまたま伺った話ですが、Bさんは、あくまで「友人」となっているため、どこにお骨が運ばれたかも、教えていただけなかったそうです。

おわりに、、、

 このケースは、入院時からすでに意思疎通が取れなかったAさんを中心に、内縁関係とはなんなのか考えさせられたものでした。形式上でも10年以上同じ家に暮らし、ほとんどなにをしているかわからない関係。

 みなさんが相談員だとしたら、どうされたでしょうか。

 学びの多いケースでした。

 (筆者の知識不足がありましたら、ぜひご教授いただければ幸いです。)

以上、MSW(医療ソーシャルワーカー)ヒナタザウルスのブログでした。

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