【MSWの事例紹介】ある日、お礼にいらしたオジサンは

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【事例24】元ホームレスさんに強く感謝されました。

 こんにちは、現役MSW(医療ソーシャルワーカー、社会福祉士)ヒナタザウルスです。

このブログでは、MSWとして関わった事例や思う事、MSWに関わる本や、あんまり関わらない本も含めて紹介させていただいています。

 今回の事例は、MSW(Medical Social Worker:医療ソーシャルワーカー)として、もしかしたら一番しっかりと「ありがとうございます」と言われた事例です。なお、事例に関しては特定を避けるために多くの情報を変えておりますので、一部フィクションであるとご理解いただきながら、実際に自分が相談員だったらと思いながらお読みいただければと思います。

ある日、救急車でホームレスの方がいらっしゃいました。

 ある日、救急車でホームレスの方がいらっしゃいました(Aさんとします)。

 その方は、近郊のバスセンターで倒れていたところを、近くの方に救急車を呼んでもらい、病院にきたようです。

 住所不定、無職。身分証等はなく、本人からはその時点では聞き取りも難しそうな状況でした。

 このような方が来院されたら、まず行政の生活保護担当に連絡します。

 いわゆる「一報」と呼ばれるものです。この方がこのまま亡くなってしまった場合も行政の方々に相談せざるをえませんし、回復した場合は、病院として費用を未収となる可能性も高いので、生活保護の申請はせざるを得ないところがあります。

 (身寄りがいなさそう、数日以内に退院し、自分で申請に行くことが難しそうという前提ですが。)

後日、本人に聞ける限り聞き取ります。

 後で伺ったのですが、倒れる前の数日は水しか口にされていなかったようです。そのためか、入院してもしばらくはぐったりされており、お話を伺うこともできませんでした。

 数日後、お話を伺うことができ、伺いました。内容としては、2県離れたところに住んでいたが、妻(離婚済み)に追い出されてしまい、病院がある市の隣の市に住んでいる妹を頼って来たようです。

 ただ、妹さんの家も数日で追い出されてしまい、手持ちのお金だけで過ごしていた。そして、お金が無くなり、なにも食べれず、倒れたとのこと。

 経過は伺えました(身分証もないので、裏を取ることはできませんが)。

 また、その翌日ごろには、行政の職員が来てくださり、生活保護申請のための調査をしてくださいました。

 本人の持ち物は、カバンに、汚れた着替えと、62円。本人から(自称)の住所地も伺い、こちらは行政の方々にお任せするしかないところ。

 その後、もろもろの確認が済み、頼れる方は改めて「いない」ことがわかり、生活保護となりました。

 Aさんは「もう、野垂れ死ぬしかないと思っていました。ありがとうございます。ありがとうございます。」とおっしゃられました。

退院調整を考えると。

 この方の退院調整という側面を振り返っていきます。まず最大のネックであった「お金」がないは、生活保護を申請するしかありません。

 また、入院して1週間もたつ頃には内科の先生から「退院できる体調にはなるね」とお話を伺えていました。

 そうなると、問題は退院先です。

 この時点でご本人には身分証なども何もないので、賃貸は難しいです。そこで、無料低額宿泊所と呼ばれる場所をご紹介することとなりました。生活保護の方が入れる寮のようなところです。(詳細は割愛します。)

 生活保護の担当の方と相談し、退院後はそちらに行けることとなりました。

 相談員としては、入院費も心配なく、退院先も定めることができたので、支援としては一段落といったところです。

後日談があります。

 Aさんはこのまま無事に退院されたのですが、このお話しには後日談があります。

 退院された3か月後ごろ、見違えるようにさっぱりしたAさんが私のいた病院の受付で私を呼び出しました。

 私は「退院して3ヵ月もたったのに、何かあったかな」とドキドキしながらお話を伺いました。

 すると、Aさんは(私よりも20歳は年上の方だと思われる方ですが)しっかりと頭を下げ、

 「無事に仕事も決まり、無料低額宿泊所も出ることが決まりました。人生をやり直そうと思います。いろいろと本当にお世話になりました。」

 と仰られました。

 圧倒されました。

 言い方は悪いですが、私は「仕事をした」までです。ここまで感謝していただけると思えず、この時にいただけた言葉は忘れないようにしようと思いました。

おわりに

 今回は思い入れの深い事例をひさしぶりに思い出しながら書かせていただきました。

 私はよく言えば「ドライ」なところもある仕事姿勢のところがあるので、この事例のように強く感謝されると、とてもしっかり覚えてしまいます。

 ちなみに、そばで見ていた仲間のスタッフに「Aさんからしたら、すべてを失い路上で体調を崩していたのに、お金の心配を無くし、住むところも用意してくれたのだから、感謝するだろうね。」といっていただけました。

 そういわれると、なんとなく「そうかもな~、この仕事も悪くないな」と思いました。

以上、MSW(医療ソーシャルワーカー、社会福祉士)ヒナタザウルスのブログでした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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