「介護保険が危ない!」を読んで

MSW関連の本の紹介

【本の紹介】介護保険の危ない現状を再認識させてくださる本。

 こんにちは、現役MSW(医療ソーシャルワーカー、社会福祉士)ヒナタザウルスです。

 今回は「介護保険が危ない!」という本を紹介させていただきます。

 編者:上野千鶴子さん、樋口恵子さん 発行所:岩波書店さん

 この本は、編者の二人が中心となって行われた「介護保険の後退を絶対許さない!1.14院内集会」の記録をもとにつくられた本です。

 いわゆる「ブックレット」なので、薄い本ではありますが、読んだ日の夜には寄稿している方々の「介護保険」や日本の介護に関する想いに(時には悲痛の叫びに)あてられ、眠くならず困ったものです。

 日本の将来を憂う気持ちに拍車がかかる1冊ではありますが、「厳しい現実」を直視しなければ、活路は見いだせません。現実を知る意味でもとてもよい本です。

 MSW(Medical Social Worker:医療ソーシャルワーカー)としていつも思う「当然」かつ「絶対」だと思う事実は「福祉は全員の課題」という事です。20代だろうと、エリートサラリーマンだろうと、この本を読んで思うところはあるはずです。

 日本の「巨大な課題」である「高齢社会」を支えるために先人が作った武器「介護保険」をこれ以上錆び朽ち果てさせぬよう、まずは読んでほしい一冊です。

本の内容について

 この本は、多くの方々による寄稿(訴えの記録)を編集して作られています。介護保険の改正(改悪)について、想いのある方々がそれぞれの角度から意見を発しており、とても読み応えがあるものです。

 意見を述べている多くの方が実際に介護保険ができてからの約20年の間、繰り返される改悪を現場でどうにか受け止め、ふんばって戦い、それでもさらに改悪されそうないま、ついに声を上げたという印象です。

 私は社会福祉士としてのキャリアもさして長くもなく、MSWとしてなどまだまだ未熟もいいところです。それでも度重なる介護保険の改悪で現場が疲弊している現状は感じております。

 制度のおかしな改悪の流れに対し、「介護保険が人々の幸せのために機能してほしい」と願って、いまも日夜現場で戦っている人たちの生々しい声がこの本の中に詰まっていました。

 私自身、もともとは社会福祉協議会に席を置き、地域の総合事業を進めていこうという立場だった経緯もあり、行政側の主張や、理屈があるのも、一部理解できます。

 ただ、実際に病院で退院支援をしようという時に、介護保険制度がどんどん使いにくくなり、ヘルパーの方がどんどん減っていき、優秀なケアマネさんが増えることもない、という現状は、制度を改悪したことが招いたことであり、MSWとして本来であれば自宅へ退院できる人も、帰せなくなるように思います。

 そんな方が増えてしまったら、本当に何のための制度かわからなくなってしまいそうです。

制度がもっとシンプルになることを願っています。

 この本で寄せられた文章の中で、特に私が強く同意したものがありました。

 それは、制度自体が複雑化した結果、手続きのコストを増やしたり、支援者の現場以外の負担を増やしているという指摘しているものです。まさにその通りだと思います。

 もっとシンプルに、わかりやすく使いやすくすることで、不要なコストやストレスを減らせるのではないかと思いました。

 現在の制度ではどのような形でも同居の親族が同居しているとヘルパーさんを利用できなかったりして、ヘルパーさんが頼めないなら、いっそ施設入所を考えようかなどといった例はいくつもありました。独居の方が支援しやすいという矛盾が生まれることは少なくありません。

 住所を分けるという発想は、生活保護を申請するときにもよく考えられる発想で、制度の申請のしにくさや煩雑さにより、変な工夫が生まれてしまっています。

 実際に対応する地方の行政職員の方々の葛藤も何度も耳にしました。

 介護保険制度が少なくとももう少し「わかりやすい」制度になってほしいと思います。

この本を読んで改めて。 

 この本の方々がどうにか未来のために止めた(延期にした)介護保険の改悪について、再度繰り返されることは明らかです。この本で知識と危機感を身に着け、今後の制度が変わるときには、「気づいたらどんどん使いにくくなる」ようなことのないようにしていけたらいいなと思います。

 そのためにはやはり一人でも多くの日本国民が興味を持つことが必要なように思いますし、そういった意味でも読みやすく(みなさん本当に文章もお上手です。)わかりやすいこの本は、おススメしたい一冊だと思います。

おわりに

 以前に買っていたもので、改めて目を通してブログにしたのですが、初めて読んだ時も、今回も読んだ後いろいろなことを考えてしまう本です。起稿されるお一人お一人の訴え方の違いや、その訴えをさせる理屈の違い。そういったところも含め、読んでいてとても有意義な本でした。

 ちなみに、今回「編者」として携わられている上野さんの本は、過去何度も紹介しているので、リンクだけ貼らせていただきます。

過去、上野さんの本を紹介したブログ

→ 第69回 「在宅ひとり死のススメ」を読んで 

→ 第51回 「おひとりさまの最期」を読んで

→ 第34回 「おひとりさまの老後」を読んで 

以上、MSW(医療ソーシャルワーカー、社会福祉士)ヒナタザウルスのブログでした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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