【コラム】施設入所は悪いことなのか。

コラムイラスト コラム

今回は施設は「悪いところではない」というテーマでコラムを書いていきます。

 こんにちは、現役MSW(医療ソーシャルワーカー、社会福祉士)ヒナタザウルスです。

 このブログでは、MSWとして関わった事例や思う事、MSWに関わる本や、あんまり関わらない本も含めて紹介させていただいています。

 これまでこのブログでは「在宅で最期まで過ごせるのか」という本を何冊か紹介しました。

 → 【書評】「在宅ひとり死のススメ」を読んで

 → 【書評】「うらやましい孤独死」を読んで

 そういった本を紹介すると、「施設に入らなくて済むんだね」というコメントをいただくことがありました。それはちょっと違うなと思います。「本人が望めば、望んだ場所で過ごせる」という話であって、「施設が悪く、家がよい」という話をしているつもりではありません。

 (※ とはいえ、現在の国の方針や、一般論は「家で(地域で)過ごすこと」を肯定している状況ではあるように思います。)

 それでも、一人のMSW(Medical Social Worker:医療ソーシャルワーカー)としては、「本人が望むこと」に寄り添う事が大切だと思っていますし、「施設に入りたい」と望む方が一定数いらっしゃることは、経験から学んでいます。

 そういったところも含め、「施設は悪いところではない」という事を、今回のコラムにさせていただきました。

施設へ望んではいる方もいる。

 高齢者施設は一般的に入りたくない場所と思われています。入りたいと「今」思っている方は、ほとんどいないでしょう。

 ただ、たとえば病院に入院し退院するよというときに、「施設に入りたい」という方はけっこういらっしゃいました。

 たとえば、一人暮らしで医療行為(在宅酸素)をしながら自宅で過ごされていた80代の女性(頼れる家族なし、生活保護の方)に、「家は不安だし、一人は寂しいから施設に入りたい」と泣きつかれたこともあります。

 また、独居ではあるものの、まだ歩くことも食べることも一人でできて、遠方に子どもさんもおり、電話で定期的に話したりもされる、介護保険も要支援である60代男性からは、「家にかえっても一人で嫌だし、食事を作るのが苦手でまた体調悪くしたくないから施設に入りたい。」と言われ、介護予防特定施設入居者生活介護の有料老人ホームを探したこともありました。予算や立地の条件でご納得されたところに入所され、感謝の言葉をいただけました。

 また、施設に入られた方からも「家でいろんな心配をしながら過ごすより、よっぽどいいわ。広いお風呂もあるし。」とおっしゃられている方も居られました。(私は退院調整した先の施設のご様子も機会があれば見に行くようにしていまして、その時に伺いました。)

本人の希望が叶えやすい世の中になってきている。

 かなりポジティブな言い方をしますが、老後の過ごし方に関して「本人の希望が叶いやすくなっている」のです。

 遡れば、介護保険ができる以前は福祉サービスは「行政による措置」であり、家族が望もうが本人が望もうが受けることができませんでした。介護保険ができたことで、福祉サービスや、施設への入所は本人や家族の「申し込み」や「契約」が原則となってきました。この変化はとても大きいです。

 そして、介護保険制度ができて20年以上の現場の積み重ねがあり、現在では在宅でも安心して過ごすことができるようになったということです。

 自宅で最期まで過ごすのか、施設に入るのかなどは、あくまで選択肢であり、「選べる」という事実がとても素晴らしいなと思います。

選択肢が選べないことはあるのか。

 選択肢を選べないパターンにどういったものがあるかを確認していきます。

 まず、選択肢を絞る一番の要因は「予算」です。これは、純然たる事実だと思います。月々100万円以上っする、高級老人ホームに入るという「選択肢」は多くの方にとって排除せざるをえないものです。ただ、予算よって選択肢を絞るという行動は、人生でずっとしていることかと思いますし、仕方がないことのように思います。また、生活保護の方でもいくつかの施設を選ぶことが可能になる事例が多いように思います。お金が無いからと言って、可能なことも多々あります。

 つぎに、「体調」です。訪問診療、訪問介護がかなり頼れる状況とは、ご自宅で過ごされることが推奨できない体調の方もどうしてもいらっしゃいました。そういった場合は、病院の職員やご家族さんとよく相談し、選べる選択肢から最善を選ぶように、MSWとしては支援します。

  最期に、私が退院支援をする中で、意図的に自宅という選択肢を「選ばない」ようにした例はなくはありません。たとえば、家庭内暴力を振るってしまう方などで、なんども警察沙汰になっておられるような方(それでいて、精神科の病院などに措置入院にはならない方)。

 本人の希望に沿うことが基本的にはMSWの支援の前提です。この事例が正しかったかどうかはわかりませんが、相談員として悩みながら選択肢を狭めたという記憶があります。

 原因が「認知症」であれ「精神疾患」であれ、自宅での生活中に暴力を振るってしまう方を本人の希望を元に「自宅」へ退院を進めることは、非常に難しいと私は思います。

 事例 → 【MSWの事例紹介】家庭内暴力をしてしまう方はどこに退院すべきか。

おわりに

 「施設が悪い、在宅が良い」というものでは無いということが伝えたく、コラムにしました。繰り返しになりますが、本人の選べる選択肢が多いことが良いことなのだと思います。

 以上、MSW(医療ソーシャルワーカー、社会福祉士)ヒナタザウルスのブログでした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 

コメント

タイトルとURLをコピーしました