知らない女性と救急車で【MSWの事例紹介】

事例イラスト 事例編

【事例23】この女性はだれですかと聞かれても。

 こんにちは、現役MSW(医療ソーシャルワーカー、社会福祉士)ヒナタザウルスです。

 今回の事例は、MSW(Medical Social Worker:医療ソーシャルワーカー)として、困惑したことを強く覚えている事例です。なお、事例に関しては特定を避けるために多くの情報を変えておりますので、一部フィクションであるとご理解いただきながら、実際に自分が相談員だったらと思いながらお読みいただければと思います。

救急車で男性の方がいらっしゃいまして。

 例にもれず、驚く事例は救急の先生からの電話で始まります。今回も、先生からの電話は次のようなものでした。

 「もしもし?救急で運ばれてきた年配の男の人がいるのだけど、いまは意識がなくて、なにも聞き取れないの、もともと一人暮らしで、救急車を呼んだのはその場にいた女性らしいんだけど、ただの知人らしいから、家族に連絡してみて。」とのこと。

 違和感はありましたが、急いで救急の部屋に伺いました。以前にも書いたかもしれませんが、救急車で運ばれる方の情報は救急車で運んでくださる方が一番詳しいです。

 今回の事例の患者さん「Aさん」は60~70代の男性。救急隊の方々からお話を伺うと、独居で悠々自適に暮らしていたと思われる方。ご自宅で、意識を失い、救急搬送。救急車を呼んだのはそこに居た女性。その女性は一緒に救急車で乗っていらして、控室でお持ちいただいているとのこと。

 救急隊の方はいろいろなところから情報を集めてから搬送してくださるので、家族情報もご存じでした。娘が二人で一人は近郊に住んでいることもわかりました。

 私はその娘さんに連絡して、「お父様が入院されたので、病院にきてください」とお伝えしました。そのことに対しては二つ返事で了承していただいたのですが、運ばれてきた経過をお話すると、「その女性はだれですか?おかしくないですか?警察へは連絡しましたか?」とおっしゃいます。

 娘さんからしたら、事件性を感じるのかもしれませんが、私がこの時点で警察の方に連絡するようなことはありませんし、取り急ぎ早く来ていただくようお伝えしました。

 そのことを、救急車で同乗された知人の女性に伝えると「そうですか。それでは私は帰っていいですかね」と。ご家族さんが来るまではいてほしいと伝えましたが、控室の隅に座る女性は、明らかにご家族に会いたくなさそうでした。

ご家族が来院して。

 ご家族がその後に来院し、控室の女性とお話いしていただいたのですが、娘さんは明らかに不信感を示されていました。その後、お二人で話され、知人の女性がなにか責められるということはありませんでしたが、娘さんがいらしたので、知人の女性は帰られました。

 ただ、私が知る(知人女性本人から聞いた話)では、Aさんがもともと勤めていた会社の上司と部下という関係で、たまに話に行っていたとのこと。今回もいろいろ話していたら、Aさんが急に倒れてしまったとのこと。

 その後に医師から娘さんに説明があり、以後は娘さんがすべての対応をしてくださいました。ただ、Aさんの意識はそこからなかなか戻らず、娘さんがご本人としっかりお話できる機会は以後ありませんでした。   

 その後、経管で栄養を取りながら数か月入院し、療養型の病院に転院されて行かれました。

思うこととして。

 今回の事例で思う事ととして、「家族の最後に話せる場面に居れるのは、自分ではないかもしれない」という事です。

 後から話を聞くと、娘さんはAさんのご自宅へ定期的に行かれていたわけではないとのことでした。そういった意味では、最近の数か月では娘さんより知人女性さんのほうが、直接たくさんお話をされたのではないかと思います。

おわりに

 MSWとしてのブログなので、体調のことは大きく省略しましたが、娘さんからしたら「知らん女と一緒にいて、最後話せたのが知らない女なんて、なんてことだ」と思ってらっしゃるかもしれませんし、知人女性からすると「急に倒れて、本当に困った、なんてことだ」と思っているかもしれません。

 Aさん自身にとって「知人女性」がどのような存在で、どう思っているかわかりませんでしたが、急に体調が悪くなることもあるなと改めて思い、いつの会話が最後の話せるタイミングかもわからないものだなと思いました。

以上、MSW(医療ソーシャルワーカー、社会福祉士)ヒナタザウルスのブログでした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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