タバコへの依存が支援を壊すこともある。【MSWの事例紹介】

事例イラスト 事例編

【事例6】自分が関わった中で一番後悔している方です。

 こんにちは、ヒナタザウルスです。このブログでは、MSWとして関わった事例や思う事、MSWに関わる本や、あんまり関わらない本も含めて紹介させていただいています。

 今回の事例は、MSW(Medical Social Worker:医療ソーシャルワーカー)である私にとって、一番後悔している事例です。なお、事例に関しては特定を避けるために多くの情報を変えておりますので、一部フィクションであるとご理解いただきながら、実際に自分が相談員だったらと思いながらお読みいただければと思います。

外来からすでにキャラクターが強い方で。

 ある日の外来に、おばあさんがいらっしゃいました(以後Aさん)。Aさんは、いろいろな疾患を持ちながらも、生活保護を受けながら一人暮らしをしていました。

 ただ、どうしても体調が悪いとのことで、息子夫婦に連れられていらしたようです。息子夫婦からは、「本人はかなり頑固で、私達の言うことも聞いてくれないし、救急車を呼ばれて、駆けつけるのも大変なの」とお話しを伺いました。

 この時点ですでに、体調的には一人暮らしは現実的ではないと思われました。ただ、息子夫婦からは、絶対に一緒に住みたくはないと聞いていたので、退院の調整をするときには、高齢者施設を紹介していく必要があるかなと、やんわり思っていました。

体調もゆるやかに回復し。

 その後、体調もある程度回復し、退院調整に入ることとなっていきました。息子夫婦は「忙しい」とおっしゃられるので、私がAさんと共に、退院先を探すことにしました。 

 幸いにも、本人はかなりしっかりとお話ができる方なので、その時点ではただの生活保護の方の施設探し程度に思っていました。

 誤解を恐れずに言いますが、生活保護の方の高齢者施設への退院調整は、そこまでややこしくはないと思います。理由は簡単で、金銭面の比較があまりないからです。初めから行政に可能だと言われている施設しか相談できませんし、実際にいくとなっても施設側からすると、支出元も、ある意味では身元もわかっている方なので、最初の確認がしっかりできれば、話は進められたます。

施設見学に行ってみて。

  私とAさんで、施設探しを始めました。生活保護の方の相談で実績があり、私として勧められる場所から順番に、見学にいきました。

 1箇所目、本人はにこやかに見学を対応してくださいましたが、病院に帰ると「アタシはあの施設は絶対行かない」とのこと。理由は「駅から遠いから」。体調的に、お出かけができるほどは動けないので、あまり気にするところではないかとは思いましたが、Aさんの性格上、説得はできないと思い、次の施設へ見学を進めました。

次の施設の見学で

 次の施設へ見学にいきました。その見学も途中で、「アタシ、ここは行かない」とおっしゃり始めました。少しお話しを伺いましたが、理由はわからないままでした。

 取り急ぎ、施設から病院に戻ろうとしたのですが、Aさんが急に「家に帰りたい」とおっしゃり始めました。

 Aさん自身が、自立である程度動けはするのですが、不安も多いので施設に行きたいと話されていたので、どうしたのかなと思い話を伺うと、「外にタバコの喫煙所が見えた。タバコの吸えない施設や、病院に行きたくない。もう、この場で退院にしてくれ」とおっしゃいます。

 これまで、入院期間の2ヶ月ほどの中で、そんな事をおっしゃることはなかったので、かなり驚きましたが、なんにしても1度病院に戻らなければいけないので、どうには説得し、1度戻ることにしました。

 ただ、帰りの車のなかでも、「今日中には退院にしてくれ。」と見た事のない表情で叫ばれるので、Aさんの中で、タバコの存在がこれほど大きかったのだと強く思いました。

病院にもどって

病院に戻って、主治医の先生にその旨を報告すると、「本人がある程度自立で動けて、判断能力も、、、あるし、治療は終わっているので、本人希望を叶える支援ができそうであれば、退院にしましょうか。」とのこと。

 Aさんは興奮が冷めないですし、急いで、ご家族、地域包括支援センター、ケアマネージャー(入院中に支援1→介護1へ区変したため、面識なし)訪問看護ステーション、生活保護担当者などに相談し、翌日からのある程度の支援体制が組めそうでした。

 なお、ご家族には先生からも連絡をしてくださり、体調面の説明と、本人希望がここまで強いと当院での入院継続が難しいことを話していただきました。

 病院の中で関係ない看護師に「帰らせろ」と叫んでられる本人に「帰れるよ」と伝え、退院することになりました。ただ、帰り道はお一人では難しいと思われたので、車で送っていくことになりました。

自宅へ着いてみると

 いろいろなことがありましたが、自宅は送り届けることができそうで(この時点で18時ごろでした。)、よかったのかなと思っていました。

 実際に、部屋に着き、本人もひさしぶりに帰れたとおっしゃられました。ただ、「気をつけてね」とお伝えし、私が帰ろうとすると、「帰らないでほしい」とお話し始めました。私自身、かなりのイレギュラーの果てにこの状況になっていることをお話しし、送るだけだから、帰るよとお話しして、ご自宅を出ようとしたのですが、もう一度ドアのところまで追いかけてきて「帰らないで」とおっしゃいます。

 話をしっかりと伺うことにしました。話を伺うと、Aさんは1人になり、不安や寂しさが出てしまったようです。どうしても、私に帰ってほしくないとおっしゃられます。

さすがにそれは難しいので、息子さん夫婦に連絡して、ご本人の寂しさを聞いていただきながら、いつであれば来れるのかを話していただきました。

 また、翌日にはケアマネージャーさんなどが行かれる予定でしたので、その事をお話しし、ある程度落ち着いたようでしたので、その日はそれで、病院で戻りました。

翌日になり

 翌日になり、私の元に驚きの報告がありました。訪問したケアマネージャーさんに対し、暴力を振るってしまい、また、本人も自殺企図があり、警察の方に保護されたとのこと。ショックです。

 詳しくお話しを伺うと、ケアマネージャーさんがいろいろとAさんとお話しをしてくださり、帰ろうとしたときに、帰らせないようにしたようでした。

 この後は、生活保護の担当の方より情報を得るしかありません。そちらに連絡をすると、「措置入院」で、県内の精神科の病院に行かれたようでした。

(半年後に伺ったときも、まだ入院されていました。)

おわりに

 この事例は、かなり落ち込んだものでしたが、経験をシェアするブログなので、敢えて言語化しました。(特定を避けるための細部の変更や、省略しているところも多いです。)

 あの時、施設見学で喫煙所が見えなければ、違う施設を紹介できたのか、他に出来ることはなかったのか。

考えずにはいられません。そして、勤務の都合もあり、その日は入社2年目の私と、さらに後輩1人という状況だったため、「自分なり」に動いたところが多いです。だからこそ、その結果に悔やむところがあります。

 みなさんなら、どうされましたでしょうか。

以上、MSW(医療ソーシャルワーカー)ヒナタザウルスのブログでした。

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