家庭内ホームレスさん?【MSWの事例紹介】

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【事例22】家族がいても関係はいろいろあります。

 こんにちは、現役MSWのヒナタザウルスです。

 今回の事例は、MSW(Medical Social Worker:医療ソーシャルワーカー)として、ご家族の関係性もいろいろあるなと、驚きとともに学んだ事例です。なお、事例に関しては特定を避けるために多くの情報を変えておりますので、一部フィクションであるとご理解いただきながら、実際に自分が相談員だったらと思いながらお読みいただければと思います。

かなり汚れた状態でいらっしゃいました。

 今回の患者さん(Aさん)は、70代男性。救急車でいらしたときには、かなり汚れている様子。私は救急の看護師さんから「MSW介入したほうがよさそうだよ」と連絡をいただいて、救急外来の部屋に伺いました。

 Aさんは見るからにかなり汚れ、ホームレスの方かな?と思われるような臭いもされていました。

 ホームレスの方が病院に来ることは珍しくないです。

 → 第9回 転んだ貴方は、だれですか。【MSWの事例紹介】など 

 来院時には体調も悪く、しばらくは検査等もあるので、落ち着いたら話しかけてみようと思い、部屋を出ました。するとそこに、小綺麗な服装をした女性が二人。聞くと、Aさんの奥様と娘様とのことです。予想外でした。ただこの時点では、別居をされていて、Aさんは一人暮らしで、ごみ屋敷みたいなところにお住まいだったのかな?と思っていました。

 ところが、Aさんと奥様と娘様は同居だというのです。

同居の家族がいて、なぜホームレスのようになるのだろう。

 私は、困惑する感情を抑えながら、お2人に話を伺いました。お2人の関心は体調のことで、実際に各数値は人口透析が必要になるほど悪く、長く寝たきりだったからか、足の筋肉は衰えとてもあるけない状況でした。先生から体調の話があり、お二人はそれをしっかり聞いておられました。

 ただ、MSWとして私が聞きたいのは、なぜ同居の家族がいて、家庭内でここまで汚れてしまうのかなというところです。

言葉を選びながら、お話を伺いました。

 ご家族のお話によると、2年位前からお風呂に入っていないと。初めの1年半くらいは促しても入らないし、逆に「うるさい」と怒って来るので、好きにさせていた。後半の半年はそこそろ入らせないといけないと思っていても、本人が自分ではあまり動かなくなり、家の作りが古くお風呂が深く介助がしにくいため、自分たちだけでは入れることができないなと思い過ごしていたとのことです。

 納得するような、しないような気持ちでいましたが、簡単にまとめると「Aさんがなにかをいうと逆に怒って来るから、放置していた。」という事のようでした。

 その間に、Aさんはどんどん体調が悪くなっていったようです。

いろいろな家族さんがいる。

 Aさんは、人工透析を導入することにはなったものの、だいぶ体調的には回復し、入院の必要がなくなっていました。

 そうなってくると退院調整です。少しあった不安をはねのけ、Aさんの奥様はかなり協力的で、一緒にいろいろな相談をしました。その結果「小規模多機能型居宅介護」を利用することとなりました。Aさん自身も納得し、その小規模多機能型居宅介護の施設へ退院していったのですが、その間の荷物の用意や手続きついて、Aさんの奥様はすごくしっかり対応してくださっていました。

 その後も、Aさんの体調管理のために定期的な外来通院や入院が必要になることもあったのですが、Aさんの家族は、すごくしっかり対応してくださり、退院後の生活もそれなりに過ごしていただける様子は伺えていました。

改めて、Aさんの初めの姿はなんだったのだろうか。

 MSWとして審判的な態度をとることはいけないことですが、Aさんの家族さんの入院中の対応は「よい家族」でした。退院やその後も含めて、そう思えました。

 だからこそ、初めのAさんの姿との差に違和感を強く感じていました。

 ある日、外来でAさんを連れていらっしゃる家族さんとお会いした時に、話のついでに初めに聞いたお話以上に少し詳しく聞いてみました。

 すると奥様は「夫は昔から怒りっぽくて、怒るとすごく怒鳴ったりするから、声をかけるのが面倒になってしまって。そのうち部屋でゴロゴロしてお風呂も入らなくなったけど、お風呂に入るように声をかけると、怒るし、ご飯をに食べに来てと言っても、持って来いと怒鳴るし。気づいたら、部屋に簡単な食べ物だけ置いておくようになっていたの」とのことです。

 そして「お風呂に入るように言うとか、誰かに相談するとかしなくちゃとは思っていたけど、昔から勝手になにかすると怒る人だったから、今度、今度と思っているうちに2年もたっていたわ。」

とのことでした。

 ご家族がいてご自宅でホームレスのようになるという事に、かなり疑問がありましたが、答えはわかりました。その後の奥様の対応のちゃんとしておられる姿を見ながら、さぞ、Aさんの怒り方がお声かけすらしたくないくらいだったのかなと思いました。 

おわりに

 家族の形もいろいろあるのですが、やっぱり「なんとなくズルズルと長い年月放置」してしまうと、体調は悪くなってしまうなと思いました。ただ、それがご家族が望んだことであれば、私に口出しできるものではないのかもしれません。

 家族としての時間の積み重ねというものの重さを実感しました。

以上、MSW(医療ソーシャルワーカー、社会福祉士)ヒナタザウルスのブログでした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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