【書評】「おひとりさまの最期」を読んで。

MSW関連の本の紹介

【本の紹介】今回も上野千鶴子さんの本です。

 こんにちは、現役MSWのヒナタザウルスです。このブログでは、MSWとして関わった事例や思う事、MSWに関わる本や、あんまり関わらない本も含めて紹介させていただいています。

 今回は「おひとりさまの最期」という本を読んで、思ったことをブログにさせていただきます。

 著者:上野千鶴子さん、出版:朝日新聞出版さん

 なお、先にお伝えしますが、上野さんの本を私のブログで紹介することは2回目です。

 前回 → 第34回 「おひとりさまの老後」を読んで

 2冊も紹介する方は初めてですが、私自身が上野さんに対して強く賛同しているであるとか、お考えを広めたいと考えているわけではありません。

 ただ、社会学者さんとしての知識量等に関して圧倒的であることは間違いなく、本自体も有意義ななものばかりだと思います。上野さんのような方がこのような本を書いてくださることで、医療や介護分野、もっと言えば在宅でのお看取りなどについて、多くの方に知っていただくことができます。

 一人でも多くの方に、今後の福祉や医療を考えていただく機会を作れるのであれば、素晴らしいことだと思っています。

 私個人は、正直なところ賛同できない考え方も多いです。しかし、MSW(Medical Social Worker:医療ソーシャルワーカー)として、敬意と感謝を込めて、今後も上野さんの本を紹介させていただくかと思います。その旨をご理解いただきますよう、お願いします。

テーマは、在宅ひとり死です。

 この本のテーマは、在宅ひとり死です。
 本のはじめに「現在いかに単身世帯が増えているか」データをあげて説明し、次に在宅死の現状と、今後の政府の医療・福祉改革について説明しています。

 この部分の情報量だけで、多くのMSWにとって読む価値があるもののように感じます。
 この本にあるように、超高齢化社会における「予測できる死」には、「出来るだけ医療の介入をさける」というのが現在の流れです。

 私も病院にいる立場なのでわかるのですが、特に急性期の病院は「治療する場所、生かす場所」となり、死ぬ場所ではないのです。

 そういった意味では、「病院で最期を迎えるものだ」と考えているであろう多くの方に、「在宅で最期を迎えることもできるよ」という事を、改めて紹介している本であるとも言えます。

本の中で在宅看取りの条件を紹介しています。

 この本の中では在宅看取りの条件を、
 1  本人の強い意思
 2  介護力のある同居家族の存在
 3  利用可能な地域医療・看護・介護資源
 4  あと、ちょっとのお金 

として、そのシステムをつくるために、私たちMSW(医療ソーシャルワーカー)が、ありとあらゆる資源を使って在宅移行を可能にし、病院の医師と訪問診療の医師を橋渡しするという表現がされています。概ね賛同しますし、なるほどなと思う4つでした。

 私が特に、MSWとして難しいと感じるのは「1」です。実際に、本人が「どこで看取るか」という場面に、しっかりと意思表示ができた事例の方が、私の担当した事例では少なかったように思います。

後半は、自分の経験と照らして読ませていただきました。

 後半は、在宅看取りの条件から家族を除いた、在宅死の様々な例について書いています。
 私は、今までに四人の家族を見送りました(正確に言えば、主に母が)。そのうち二人は、自宅でのお看取りをしたのですが、在宅でのお看取りはいくら連携がうまくいっても、家族の負担は相当だと感じました。

 もちろん、父の時は(詳細はこちらを→第48回 エピソード0【MSWになったきっかけ?】)24時間体制の訪問診療や訪問看護、そして様々な福祉用具や医療機材のレンタルを受けれたことで安心感はありました。それでも家族の精神的負担は24時間でした。
 その心理状態のことは、本書の中で、介護研究者、井口高志さんの言葉として、「家族介護の無限定制」と言う言葉が紹介されており、介護とは、たとえ離れていても、家族にとっては働いているときも遊んでいるときも、かたときも心から離れることのない重荷のようなものだ、と書いています。自分の経験からも、MSWとしても、同感するものではあります。

 また、小規模多機能型居宅介護サービス(利用者の選択に応じて、施設への「通い」、「宿泊」、自宅への「訪問」を組み合わせたもの、通称:小多機)を紹介していて、そこで看取りもする、ホームホスピスなるものが紹介されていました。

 最近「小多機」が増えてきたと思っていたのですが、「選択ができる良さ」を考えると、今後もっと増えるのかもしれませんね。

引用させていただきたいところがありました。

 本書の中で、めぐみ在宅クリニックの小澤竹俊医師の、「苦しむ人への支援と5つの課題」を紹介しています。それは次の5つです。
 1  援助的コミュニケーションを学ぶ
 2  相手の苦しみをキャッチする
 3  相手の支えをキャッチする
 4  どんな私たちであれば、相手の支えを強めることができるかを知り実践する
 5  支えようとする自らの支えを知る

 そして、その支えにも、できることとできないことの限界があるとして、専門職の重要な心構えのひとつに「わきまえるを知る」という、精神科医、川村敏明先生の言葉を紹介しています。

 MSWとして、実践的だと思う内容だったので、紹介させていただきました。

おわりに

 読み直しても痛感するのですが、かなりの情報が詰まった本です。冒頭でお話したようにすべて賛同できるわけではありません。

 例えば、看取りをマネージメントするという所で、友人の闘病を30人の友人のチームで支える話がでていました。いざという時にも頼りになる「人持ち」になろうとありますが、果たしてどれだけの人がそんな友人を持てるのかなとは思ってしまいました。

 ただ、そんなところが気にならないほど学びが多い本で、この本を読んで「1人で生きる勇気」をもらった方もたくさんいるのではないかと思います。

 誰が読んでも意味がある一冊ではありますが、お1人で将来に対する不安感を持っている方にはぜひ勧めたい1冊でした。

→ この後、次の上野さんの本もブログを書いたので、リンクを貼らせていただきます。

   第69回 「在宅ひとり死のススメ」を読んで

以上、MSW(医療ソーシャルワーカー、社会福祉士)ヒナタザウルスのブログでした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。  

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