【MSWの事例紹介】自宅に息子はいるものの。

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【事例19】自宅の息子さんとの関係で支援に難航した事例です。

 こんにちは、現役MSWのヒナタザウルスです。

 今回の事例は、MSW(Medical Social Worker:医療ソーシャルワーカー)として、今回は、ご本人は生活保護になりたいと思い、収入もなかったのですが、家族の事情等によりなれなかった事例です。 

 なお、事例に関しては特定を避けるために多くの情報を変えておりますので、一部フィクションであるとご理解いただきながら、実際に自分が相談員だったらと思いながらお読みいただければと思います。

入退院を繰り返し、本人もそれが嫌だと思っており。

 今回、事例として紹介する患者様(Aさん、70代男性)は、内科で入退院を繰り返す患者様。奥さんに先立たれてから、栄養のバランスが良いものを食べることができず、あらゆる数値が悪くなり、入退院を繰り返していました。

 私も、入退院を繰り返す本人と何度かお話をしていたのですが、本人は「食事を作るのができない」とお話されていました。

 私はMSWとして、配食のサービスを紹介しながら介護保険の申請をご案内し、介護保険がとれたらサービスの活用をと考えていました。ご本人はとてもめんどくさがりではあるものの、その時には、サービスを使う事などに拒否感はなく、むしろ利用できるものはできるだけ使いたいと考えていました。

 基本情報として、家族は息子二人、長男は同居(関係性悪い)、次男は遠方(KP)、自宅は持ち家一軒家。

何度目かの入院で。

 次に入院をされたところで、私がAさんのケアマネージャーさんへ連絡すると、「前回の入院後にAさんは一通りサービスを利用したが、最近すべて断ってしまった」という回答を受けました。

 ご本人さんに確認すると、お金がもったいないと思い断ったとのお話。本人曰く、「体調がよくなるわけでもないものにお金払うなら、好きなものを食べたい」と、そして「もし、お金があったら施設でもどこでも面倒を見てもらいたい」とお話するようになりました。

 私は、それであればと生活保護の紹介をしたのですが、Aさんはすでに相談に行かれたことがあるとのこと。そして、生活保護にはなれないですと言われたそうです。

 理由としては、同居の息子に収入があること。断られる理由としては当然なのですが、このご家族にはかなり悩ましいものでした。

息子とまともには30年話していない。

 Aさんには同居の息子さんがいます。ただ、一軒家の1階と2階で別々に住み、最近30年はほとんどまともに話していないそうです。数年前に他界した奥さんは息子さんとも話していたそうですが、Aさんと息子さんでも会話はゼロ。現在も息子さんは就労されている様子はあるそうですが、その内容はAさんには分からないままなようです。

 家はAさんの名義なので、Aさんの持ち家に就労している息子さんが住んでいる状況です。そのことでAさんが金銭的に困っていても、生活保護も家の売却もできないという状況です(実際には強く動けば不可能ではないですが、Aさんにそこまでの意思はありませんでした)。

 私はこれまでの経過も含め、遠方の次男さんと話したいと思い電話でなんどかお話しました。次男さんは「お父さんは家族を顧みない人で、そのせいでお母さんが苦労したと、私たち息子は思っている。援助はしたくない。」としたうえで、「長男には、家を出てくれないか相談してみます。」とお話くださいました。ただ、次男さんの説得もむなしく、というか、ご兄弟ともにどこか他人事のようで、長男さんは引っ越し等の対応をしてくださりそうもありませんでした。補足として、長男さんは病院から電話をしても、すべて「次男に相談して」と答える方でした。

再度在宅へ、長くは続かず。

 体調としては、病院の治療もうまくいき、かなり良くなりました。そのため、私は再度、ケアマネージャーさんに相談し、Aさん自身と何度も相談し、訪問看護も導入して、自宅で過ごしていただくこととしました。

 ご本人も体調がよくなった自覚があり、それを望んでいました。ただ、同居の長男さんは協力を望めないため、各手続きもすべて次男さんにやっていただきました。

 ただ、やはり自宅での生活はうまくいかず、しばらくしてまた入院をされました。そして、その数日後に他界されました。

おわりに

 ご家族との関係が、終末期に問題として表出しがち、というお話は以前しましたが、本当に難しい問題です。 → 【コラム】多くの方の最期の時期に立ち会って

 このAさんは、人生の最後に本当に困っていたのに、実の息子に相談をすることもできませんでした。こちらの親子がどのように会話がなくなったのかわかりませんが、なんとなく会話がなくなり、30年だとしたら恐ろしいことだとも思います。

 また、長男さんからすると、このあともAさんの家に住むためにはそれなりの税金等を払わなければいけなくなるはずです。それが長男さんの望んだ形なのかなと、思うところもある事例でした。

以上、MSW(医療ソーシャルワーカー、社会福祉士)ヒナタザウルスのブログでした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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